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発達障害 developmental

発達障害:自閉症、アスペルガー障害、注意欠如多動性障害(ADHD)について

発達障害はいくつかのタイプに分類されており、広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群など)、注意欠如多動性障害(ADHD)、学習障害、チック障害などが含まれます。
それぞれ異なった特徴がありますが、共通していることは生まれつきの脳の機能の働きが原因であるということです。親のしつけや愛情不足で発達障害を発症することはありませんが、環境や周囲の人の接し方により、行動や考え方のクセが問題化することがあります。

以降、「障害」としての発達障害の特徴を取りあげていきますが、 個人的には発達障害の傾向があることは必ずしも悪いとは思っておりません。

  • 裏表がない。愛嬌がありまっすぐな性格のため人から好かれやすい。
  • 想像力や発想力が豊かで多才。
  • 興味のあることに対する集中力、行動力が人並みはずれており、大成功を収める人も多い。(芸術家、偉人、天才…)など

患者さんそれぞれの問題と向き合いながら充実した生活が送れるように、前向きな提案をしていきたいです。また、一人で悩みや問題を抱え込んでいる方がいらっしゃるなら、ぜひお話にきてください。困っていることを打ち明けることだけでも大きな一歩になると思います。
ご家族の方へのペアレントトレーニングも行っております。

広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群など)

現在の国際的診断基準(DSM-5)では、広汎性発達障害とほぼ同じ群を指して自閉症スペクトラムと呼び、自閉症、アスペルガー症候群、という呼び方はなくなり、本質的にひとつの疾患と考えられています。

しかし、実際の診察の場では一般的に知られている「自閉症」「アスペルガー症候群」という言葉を使うことがまだまだ多いと思います。また、「自閉症」「アスペルガー症候群」の違いは、言語や行動面の発達に明らかな異常があるかどうかで判断されます。

自閉症スペクトラムと発達障害の違い

症状

自閉症スペクトラム(≒広汎性発達障害)の症状は

①社会的コミュニケーションおよび対人関係の障害
②行動、興味に限定されたこだわりがあること

の2つが軸となっています。


《幼児期の患者さんによく認めること》

  • 言葉がおそい。
  • 一人遊びが多い。
  • 興味のある動作のみをずっと行い続ける。(パズルなど規則性のあるものに惹かれやすい)
  • 食事の好き嫌いが強い。
  • 不器用(着替えなど、同年代のこどもができることができない。)
  • 発言がストレート。
  • 生活リズムが崩れやすい。

《大人の患者さんによく認めること》

  • 雑談が苦手。
  • 仕事や家事で、複数の作業を同時進行に行うことが難しい。作業の優先順位がつけられない。
  • 興味のある仕事に没頭する。細部にこだわる。
  • 職場では上司からの指示待ちになりやすい。また、指示以上の仕事を機転をきかせて行うのが苦手。
  • 社交辞令をそのまま受け取ってしまう。発言がストレートでトラブルになる。

治療

治療のメインは、現在支障を来している状況や環境を調整し、対応を考えることです。

医師の診察にて、総合的な状況の判断や問題となる場面について具体的に取り上げていきます。

また、心理療法のスキルを取り入れることはとても効果的です。
苦手な状況やパターンに対応するために認知行動療法を取り入れたり、不安やストレスに伴う身体の不調を継続的に認める方にはマインドフルネス認知療法を提案させていただきます。
ご家族のサポートについてペアレントサポートも行っております。自宅での生活や治療のサポートをご希望の方には訪問看護も行わせていただきます。

薬物治療もしばしば行われます。
根本的なコミュニケーションやこだわりの症状を改善することはありませんが、 不安やストレスが強い時、発達障害の症状が増強されることがあるため、 精神症状を安定させることでそういった症状も落ち着くことがあります。
また、イライラや不安、抑うつなどが非常に強い時は、まず優先的に薬物治療を行い、 気持ちが落ち着いてから心理療法などを行うことを勧めます。
非定型抗精神病薬、抗不安薬、睡眠剤、抗うつ薬など使われます。

患者さんには発達障害のタイプを複数同時にみとめる方(アスペルガー症候群+ADHD など)や、 発達障害に加えて他の精神疾患を罹患されている方も少なくありません(アスペルガー症候群+うつ病 など)。
その際はADHDの治療薬や抗うつ薬など併発した精神疾患の治療薬が優先的に使われることが多いです。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

発達障害のひとつのタイプです。多動・衝動性、あるいは不注意が主な症状になり、 一般的に小学校入学前に認めていることが多く、成人になるに従い認めなくなることもあります。
また、逆に成人になり問題化するケースもあります。幼少期は周囲の理解やサポートがあり問題化しなかったけれど、 成人になり仕事など多忙になるとミスが増えたり、上司に叱られることがあり、精神的不調を訴える方が多いです。

簡潔な原因の説明ですが、脳内の注意・衝動性・行動をコントロールする部位で、 神経伝達物質のドーパミンやノルアドレナリンが少ないことで脳機能に障害が出ている可能性が指摘されています。

《典型的な症状》(DSM-5の診断基準です。)

A1:以下の不注意症状が6つ(17歳以上では5つ)以上あり、6ヶ月以上にわたって持続している。

a.細やかな注意ができず、ケアレスミスをしやすい。
b.注意を持続することが困難。
c.上の空や注意散漫で、話をきちんと聞けないように見える。
d.指示に従えず、宿題などの課題が果たせない。
e.課題や活動を整理することができない。
f.精神的努力の持続が必要な課題を嫌う。
g.課題や活動に必要なものを忘れがちである。
h.外部からの刺激で注意散漫となりやすい。
i.日々の活動を忘れがちである。


A2:以下の多動性/衝動性の症状が6つ(17歳以上では5つ)以上あり、6ヶ月以上にわたって持続している。

a.着席中に、手足をもじもじしたり、そわそわした動きをする。
b.着席が期待されている場面で離席する。
c.不適切な状況で走り回ったりよじ登ったりする。
d.静かに遊んだり余暇を過ごすことができない。
e.衝動に駆られて突き動かされるような感じがして、じっとしていることができない。
f.しゃべりすぎる。
g.質問が終わる前にうっかり答え始める。
h.順番待ちが苦手である。
i.他の人の邪魔をしたり、割り込んだりする。

他にも睡眠障害と密接に関係があり、日中の急な眠気に襲われることがあります
(睡眠中にいびきをかき眠りが浅いことが原因としてあげられます)。
また、アルコール、薬物、ゲーム、ギャンブルなどの依存性形成をしばしば認めます
(そのことで二次的に仕事や家庭に支障をきたすこともあります)。

治療

日常生活の様々な場面で困難を感じ、思うようにいかない日々が続くことで気分が落ち込んだり、
自分自身を否定しがちになってしまうことがあります。

ADHDの治療は主症状である不注意・多動性、衝動性を改善させることだけではありません。 環境を調節したり、行動スタイルを見直すことで、毎日の生活が充実し患者さん自身が前向きにすごせるよう取り組みます。 発した精神疾患の治療薬が優先的に使われることが多いです。



①薬物治療

ストラテラ、コンサータ、インチュニブ」:不注意・多動性・衝動性の症状を改善させる効果があります。 副作用も伴うため、年齢や症状を見ながら検討させていただきます。その他、うつ病や不安障害など他の精神疾患の合併のあるときは、抗うつ薬、抗不安薬などを使うこともあります。


②心理療法

年齢や症状を見ながら心理療法を提案させていただきます。
患者さんのご家族にはペアレントトレーニングを勧めます。